投資家の8割が「資産運用」!暗号資産への関心も高まる — 2025年投資実態調査
ビットバンク株式会社は、一般インターネットユーザー1,429人を対象に「暗号資産投資実態・市場に関するアンケート調査」を実施し、2025年の結果を発表しました。
この調査は、国内外で暗号資産を取り巻く環境が大きく変化する中で行われました。日本では金融商品取引法(金商法)への移行検討や「令和8年度税制改正大綱」における暗号資産税制の見直し、レバレッジ取引の拡充、ビットコイン現物ETF(上場投資信託)への期待が高まっています。また、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)によると、取引所の口座数は2025年10月末時点で約1,347万口座に達し、預かり資産残高も5兆円を超えるなど、市場規模は着実に拡大しています。
調査結果サマリー
約8割の回答者がNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を含め「資産運用している」と回答し、2023年・2024年の横ばい傾向から2025年は上昇に転じました。
2026年の暗号資産市場については、税制改正や制度整備に対する期待が高い結果となりました。
税制が「20%の申告分離課税」(他の所得と分離して税率を計算する課税方式)に変更された場合、約5割が投資に前向きな意向を示しました。
金商法改正に伴う投資環境の整備が、暗号資産投資の拡大を後押しする要因となる可能性が示唆されました。

資産運用への関心が高まる日本
約8割が資産運用を実施
2025年の調査では、「資産運用している」と回答した人が76.1%に達し、2023年・2024年と比較して約20%増加しました。2024年1月の新NISA(少額投資非課税制度)開始以降、資産運用への関心が高まり、実際に投資を始める人が増えている傾向が見られます。

NISA/iDeCo、投資信託の利用が拡大
資産運用を行っている人に利用しているものを尋ねたところ、「NISA/iDeCo」が67.6%で最も多く、次いで「株式投資」49.2%、「投資信託」45.9%が上位を占めました。また、新設された「普通預金」も70.5%と高水準であり、資産運用と並行して一定の現金を確保する傾向がうかがえます。
暗号資産への投資も前年比+3.1ポイントで22.1%まで上昇しました。一方、外貨預金は低下しており、円安局面でも複数の資産を組み合わせた分散投資でリスクに対応する投資家が増えていることが示唆されます。

投資目的の多様化
資産運用を始めた理由として、「老後の生活資金を準備するため」が36.6%で最多となりました。しかし、2023年・2024年の5割超と比較すると低下しており、投資開始の動機が多様化していることがわかります。今年は「投資知識を深めるため」(32.2%)、「年金制度に不安がある」(28.2%)、「自由に使えるお金を増やしたい」(28.2%)といった実利的・能動的な動機が増加しています。

投資しない理由の主因は「資金余力」
資産運用をしていない人にその理由を尋ねると、「余裕のある資金がない」が54.7%で最多となり、資金面が主な要因であることが継続して示されました。しかし、「資産運用に関する知識がない」や「難しそう」といった心理的なハードルは低下傾向にあり、投資への理解が深まりつつあると考えられます。

暗号資産投資の実態
暗号資産への投資配分が拡大
暗号資産に投資している人の中で、資産全体に占める暗号資産の割合は「5%未満」が46.7%で最多でしたが、前年の60.6%から低下しました。一方で、「5〜30%未満」の合計は45.0%と前年比+10.2ポイント増加しており、暗号資産を資産形成の一部として継続的・積極的に組み込む層が増えている可能性が示唆されます。

投資のきっかけは「関心・学習」と「少額で始めやすさ」
暗号資産に投資した理由として、「暗号資産に興味・関心があった」が65.0%で最多となりました。次いで「少額から始められる投資商品」が30.0%となり、暗号資産が試しやすい投資手段として受け入れられていることがうかがえます。また、税制改正やステーブルコイン(法定通貨に価値が連動する暗号資産)の実用化・規制整備への期待も、投資の後押し要因となっています。

暗号資産投資の主な課題は「知識不足」
暗号資産に投資していない理由としては、「知識がないため」が39.2%で最多となりました。しかし、「リスクが高いと感じるため」や「難しそう」といった心理的ハードルは低下しており、暗号資産への理解が進んでいる様子が見られます。また、「余裕のある資金がないため」も上位に挙げられ、投資全般に共通する資金面の課題が浮き彫りになりました。
暗号資産保有額は「100万円未満」が約6割
現在保有している暗号資産の総額については、「1万円〜10万円未満」が28.0%で最多となり、全体では「100万円未満」が約6割を占めました。これは、少額から暗号資産を保有する層が中心であることを示しています。一方で、「100万円〜500万円未満」も2割を超えており、少額に留まらず資産形成の一部として継続的に保有する層も広がっていることが見て取れます。

2026年の暗号資産市場への期待
税制改正への期待が最多に
2026年の暗号資産に期待していることとして、前年まで最多だった「価格上昇」を上回り、「暗号資産の税制改正」が34.3%で最多となりました。これは、金融商品としての議論が進む中で、価格上昇だけでなく、税制や制度の見直し、取引環境の整備といった幅広い観点での期待が寄せられていることを示しています。

ビットコイン価格予想は強気・慎重が交錯
2026年のビットコイン(1BTC)の円建て予想最高値については、「1000万円〜2000万円未満」が13.4%で最多となりました。しかし、「700万円未満」といった保守的な見方も多く、強気と慎重な見方が併存していることがうかがえます。2026年はビットコインの半減期(新規発行量が半分になるイベント)後、「クリプトウィンター」(暗号資産市場が長期的に低迷する期間)を意識する見方もある中で、予想が一方向に偏らない結果となりました。

予想最低値では、「700万円以上」と見る回答が中心的なボリュームゾーンとなりました。半減期後の局面で、上値期待と並行して下値も高めに見積もる意見が多く、弱気なスタンスが優勢で、上値の重い展開を想定するムードが広がっていることがうかがえます。

期待銘柄はイーサリアム(ETH)が急伸
2026年に最も期待している暗号資産銘柄は、「ビットコイン(BTC)」が43.5%で引き続き最多でした。しかし、今年は「イーサリアム(ETH)」が44.9%と前年から大幅に上昇し、BTCと並ぶトップ水準へ急伸しています。また、「リップル(XRP)」や「ライトコイン(LTC)」も上位に浮上し、主要なアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)への期待が広がっている様子が見受けられました。特に「スカイ(SKY)」が上位10銘柄にランクインしており、MakerDAOが「Sky Protocol」へリブランディングする中で、ガバナンストークンをMKRからSKYへアップグレードしたことが投資家の注目を集めた可能性があります。

業界の課題は「投資環境の整備」と「市場規模」
暗号資産業界の課題として、「NISAの対象に暗号資産やビットコイン現物ETFが組み込まれていない」が26.7%で最多となり、「投資環境の整備」が主要な課題として挙げられました。次いで「市場規模が小さい」が21.4%となり、暗号資産の普及や市場の厚みづくりが意識されていることがわかります。一方で、前年まで上位だった「税制に関わる法整備が整っていない」は低下しており、税制面の議論や整備が進みつつあることで、課題感が和らいでいる様子がうかがえます。

新NISA対象ならビットコイン現物ETFに高まる関心
ビットコイン現物ETFが新NISAの対象になった場合、投資したいと考える層は合計38.3%となり、前年から6.1ポイント上昇しました。NISA対象化によって投資のハードルが下がり、前向きに検討する層が広がっていることが読み取れます。日本版ビットコイン現物ETFが新NISAの対象となれば、より多くの投資家の参入を後押しする可能性が示唆されました。

税制改正で約5割が「投資拡大・新規参入」を検討
暗号資産の税制が「20%の申告分離課税」へ変更された場合、投資額を増やしたい(33.3%)と新たに投資を始めたい(15.3%)を合わせると、合計48.6%が投資に前向きな意向を示しました。税率が明確かつ一律になることで投資判断がしやすくなり、既存投資家の積み増しに加えて新規参入の拡大にもつながる可能性がうかがえます。税制整備が暗号資産投資の裾野を広げる追い風となり得ることが示唆されました。

まとめ
今回の調査結果から、日本における資産運用への関心は年々高まっており、特に暗号資産は税制改正や制度整備への期待を背景に、投資家の注目を集めていることが明らかになりました。投資の心理的ハードルは下がりつつあるものの、資金余力や知識不足が依然として課題となっています。しかし、税制や制度の改善が進めば、さらに多くの投資家が暗号資産市場に参入し、市場が活性化する可能性を秘めていると言えるでしょう。
ビットバンクでは、公式オウンドメディア「ビットバンクプラス」内にてマーケットアナリストによる暗号資産マーケット情報を配信しています。
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